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頭痛、片頭痛の診断・治療

ほとんどの方は頭痛を経験したことがあると思います。

頭痛の診療ですが、まず脳腫瘍や脳血管障害、髄膜炎といった頭頚部疾患に伴う頭痛(二次性頭痛)なのか、頭痛の原因となるはっきりとした異常がない頭痛(一次性頭痛)との鑑別が必要となります。二次性頭痛の場合ですが、多く場合は急性期病院での入院治療、場合によって手術が必要となります。このため頭痛をお感じになったら早急に専門医を受診いただき、二次性頭痛の有無について神経学的な診察を行った上でMRI等によって精査することを重要です。

一次性頭痛についてですが、緊張性頭痛、片頭痛、群発頭痛などの頭痛があり、それぞれ症状、治療法が異なります。また片頭痛治療の結果として生じる薬物乱用頭痛が問題となっています。

緊張型頭痛

頭痛の症状を訴える方の多くが緊張性頭痛です。頭の周囲の筋肉のつっぱり(筋緊張)によって引き起こされる頭痛です。後頸部の筋把握痛を伴うことが多く、比較的長時間持続する頭痛です。治療としては原因となる筋緊張が生じないよう後頸部や目の負担を軽減することが中心となります。目や後頸部の休息を定期的にとること、負荷のかかる姿勢を避けていただくこと、等の日常生活の指導が中心となります。また痛みに対しアセトアミノフェン、イブプロフェン、ロキソプロフェンなどの鎮痛薬を用いて症状をコントロールしていきます。症状が強い方には筋弛緩薬の投与を検討します。

片頭痛と薬物乱用頭痛

片頭痛は30代から40代の女性の5人に1人が発症すると言われています。閃輝暗点といわれる視野障害発作の後に生じる古典的片頭痛の他にも、前兆無く生じる片頭痛もあります。特徴としては痛みの程度が強い事、片側の痛みであること、嘔気や嘔吐を伴ったり、光や音への過敏症状を伴うことがあります。 片頭痛の原因は十分にはわかっていませんが、三叉神経血管説という考え方があります。初めに血管に分布する三叉神経の興奮が生じ、CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)等の放出により血管の拡張、血管の周囲の炎症が生じ頭痛が発生するという仮説です。 近年この三叉神経血管説に基づいた薬剤が開発され、片頭痛の予防効果が確認されています。

片頭痛の治療には、頭痛が生じたときの治療としては、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ロキソプロフェン等の鎮痛剤を用いますが、無効な場合にはトリプタン製剤といわれる薬剤を用います。トリプタン製剤には数種類あり症状の強さによって使い分けます。またトリプタン製剤の副作用が強い時にはセロトニン1F作動薬という新しいタイプの薬を用いることがあります。これらの片頭痛治療薬ですが約1割の方で薬への依存が生じることが問題として知られています。このため頭痛ダイアリーで内服頻度を管理することが非常に重要となりますが、しばしば頭痛ダイアリーでの管理が行われず月に10回を超えてこれらの片頭痛治療薬を内服している方を散見します。これは薬物乱用頭痛といわれ、依存薬剤の減量、中止が必要な病態で治療が困難が場合があります。このため片頭痛の診断、適切な薬剤の選択、投与量について患者さんと十分なコミュニケーションをとって内服頻度についてご理解いただく必要があります。

片頭痛の頻度が多い場合ですが、月5回以上の場合には予防薬の投与を検討、月10回以上の場合予防薬による治療が必要となります。 予防薬としては血管の収縮を抑えるカルシウム拮抗薬やβ遮断薬、抗てんかん薬(バルプロ酸)、抗うつ薬(アミトリプチリン)を用いますが、バルプロ酸では催奇形性があることが知られており、妊娠を希望される女性への投与については慎重に考える必要があります。 近年片頭痛の発症に関与していると考えられているCGRPやCGRP受容体を選択的に阻害する薬が発売され、 これまでの片頭痛予防薬で効果が十分でなかった患者さんに有効な場合があります。

群発頭痛

1年から3~4年に数回程度、数週間から数ヶ月に渡り、15分から3時間程度の強い頭痛が群発する病気で、眼球の発赤や流涙、眼瞼下垂、発汗異常等の局所の自律神経症状を伴うことが特徴です。発作時には一部の片頭痛治療薬、高流量の酸素投与が有効です。発作予防には抗不整脈薬であるベラパミルを高容量投与します。

以上の様に様々なタイプの頭痛があり、その治療は細かく異なっていますので、自己判断せず脳神経内科専門医を受診いただくことをお勧めします。

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