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多発性硬化症について

多発性硬化症(MS)とは中枢性脱髄疾患の一つで、脳、脊髄、視神経などに病変が起こり、さまざまな神経症状がおこったりおちついたりを繰り返す疾患です。類似の症状を示す疾患として視神経脊髄炎(NMO)、視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMO-SD)等があります。

診断にはMRI検査が必須ですが、まず疑わないことには診断に至ることができない疾患ですので、若い方であっても必要な検査を行っていくことが重要です。

治療には大きく二つあります。一つ目は疾患修飾薬(DMD)といわれる、疾患の再発や進行を止めたり遅らせたりすることができる薬による治療です。治療の有効性は明らかですが、非常に疾患の活動性の低い場合に投薬を継続するかどうかについては慎重な判断が必要です。インターフェロンβ1a, 1b、グラチラマーが初めに用いられる薬剤であり、効果不十分な場合にはさらに強い薬剤を用いることになります。効果の強い薬剤を用いる場合には、取り返しのつかない有害事象である治療法の確立されていない脳の感染症(進行性多巣性白質脳症)や悪性腫瘍のリスクを十分に考慮する必要があります。

治療の二つ目は急性期に用いるステロイド療法、血漿交換療法です。これは疾患の再発を防ぐのではなく、再燃してしまった炎症を抑えて症状の回復に寄与する治療です。急性期治療で最も大事なのがタイミングです。再燃してから治療開始までの時間が短い方が回復が早い事が知られています。このため症状があれば直ちに再燃の有無を確認して治療を行う必要があります。場合によってはMRIで再燃の確認が困難な場合でも、症状、身体所見から再燃が強く疑われる場合には治療を開始することがあります。再燃が疑われた場合には、直ちに受診いただきますようお願いいたします。

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